入学金や授業料など、高校に通うにあたってどうしても費用が発生します。
授業料の無料化など近年よく耳にしますが、就学支援金はこの授業料無料化に関係するところです。
年収の制限などはありますが、就学支援金は多くの高校生がいる世帯が利用している制度。
有効に活用するために、支援制度について詳しく知っておきましょう。
この記事では、学費の負担軽減につながる、就学支援金と奨学金について詳しく解説します。
就学支援金と奨学金の違いを一覧表示
まずは就学支援金と奨学金の違いを比べてみてみましょう。
就学支援金とは?
就学支援金(=高等学校等就学支援金)は授業料の一部を支給する仕組み。
奨学給付金(奨学金)とは?
奨学給付金(=高校生等奨学給付金制度)は授業料以外の経費を補助する仕組み。
いずれの制度も、高校進学によって発生する経済的負担を軽減させることが目的です。
給付によって、経済状況によらず全ての生徒が同じように学べ、経済的な理由で進学を諦めることがなくなるように、と作られた制度です。
支援金は返金の必要がなく「授業料の実質無料化」という言葉で聞いたことがある人もいるでしょう。
違い | 就学支援金 | 奨学給付金(奨学金) |
給付対象 | 授業料 | 授業料以外の教育費教材・学用品、通学費、PTAなどの会費、修学旅行費、教科外活動費など |
給付条件 | 年収約910万円未満のモデル世帯 生徒モデル世帯とは、両親のうちどちらか一方が働き、高校生一人(16歳以上)、中学生一人の子供がいる世帯 | 給付対象は生活保護受給世帯や住民税の所得割が非課税の世帯(年収約270万円未満) |
給付額 | 例) ■公立高校(全日制)の場合9,900円/月=12万円/年 ■私立高校の場合公立高校の1.5~2.5倍の支給 | 例) ■2022年度の場合生活保護受給世帯で 全日制・通信制の国公立の場合、 3万2,300円/年 ■住民税所得割の非課税世帯で 国公立の全日制の場合 第一子は11万4,100円/年 第二子は14万3,700円/年 |
申し込み窓口 | 学校申請はオンラインで行うことができる | 学校または住んでいる都道府県 |
受け取る人 | 学校 | 原則保護者 |
就学支援金と奨学給付金は同時に支援を受けることが可能です。
ただしそれぞれ別に申請する必要がありますので、忘れないように注意しましょう。
多くの高校生が受ける補助が就学支援金です。
そしてその生徒のうち、さらに低所得の世帯は授業料以外の経費に関しても補助がもらえるというしくみになっています。
給付額に関してはこれ以降にもう少し詳しく説明します。
私立高等学校の授業料の実質無料化って?
就学支援金制度はこれまで公立高校の生徒が対象でしたが、2020年に改正され私立高校に通う生徒も対象になりました。
すでに書きましたが、私立高校の授業料は公立高校の授業料を基準に、最大2.5倍まで補助が出ます。
次の章で詳しい金額について触れますが、就学支援金の拡充によって最大39万6,000円/年の補助を受けられます。
ただし授業料がこの金額以下だった場合は、条件を満たしていても授業料分までしか補助は出ません。
授業料に補助が出るため、授業料の「実質」無料化と言われています。
ただし、私立と公立を比べると、授業料以外にかかる費用にも金額に差があります。
授業料だけが無料化されると言っても、一般的に私立の方がかかるお金は多いということに。
無料化しても、私立と公立の学費が同じになるということではない点は気をつけなければいけません。
私立高校の授業料に関しては、就学支援金制度に加え都道府県独自の授業料軽減のしくみがあります。
住んでいる都道府県によって内容は異なりますので、給付金を検討している人は詳細を確認しておくとよいですよ。
就学支援金の対象と金額は?
国公立高校の場合、支給限度額は次の表のようになっています。
対象 | 支給限度額 |
公立高校(全日制) | 9,900円/月 |
国立高校 | 9,600円/月 |
公立高校(定時制) | 2,700円/月 |
公立高校(通信制) | 520円/月 |
国立・公立特別支援学校 | 400円/月 |
私立高校の場合、就学支援金は対象の生徒に対して一律9,900円/月が支給されます。
この9,900円を基本として、世帯の家事税所得に応じて、年収が低い場合には加算され、高い場合には対象外となります。
以下、簡単に表にまとめました。
就学支援金の種類別 | 保護者(父母合算)年収目安 | 月の支給額 |
加算対象39万6,000円/年 | 約660万円未満 | 33,000円 |
基本対象11万8,800円/年 | 約1,030万円未満 | 9,900円 |
対象外 | 約1,030万円以上 | 0円 |
実際は年収で算出するのではなく課税所得によって決まります。
年収はあくまでも目安なので、注意しましょう。
実際に子どもの人数などで金額は変わります。
以下がより詳しい就学支援金の対象と支給額です。
奨学給付金の対象と金額は?
奨学給付金の対象となるのは生活保護の受給世帯、もしくは住民税所得割非課税世帯(年収約270万円未満)です。
奨学金は在学する高校の種類によって給付額が異なります。
以下に支援対象世帯と支援額についてまとめました。
支援対象世帯と支援額
国立・公立高等学校等に在学 | 私立高等学校等に在学 | |
生活保護受給世帯【全日制等・通信制】 | 3万2,300円/年 | 5万/2,600円/年 |
非課税世帯【全日制等】(第一子) | 11万7,100円/年 | 13万7,600円/年 |
非課税世帯【全日制等】(第二子以降) | 14万3,700円/年 | 15万2,000円/年 |
非課税世帯【通信制・専攻科】 | 5万500円/年 | 5万2,100円/年 |
これらの金額は国が各都道府県に出している補助の金額です。
そのため奨学金の詳細は都道府県によって異なるので、詳しくはお住いの都道府県の窓口で確認してみるのがいいでしょう。
支援制度を利用して子どもを応援しよう
子どもが進みたい進路には進んでほしいけれど、支出はおさえたいのが親の本音かと思います。
今はできるだけ、経済格差による教育の差をなくすため、さまざまな取り組みがされています。
就学支援金制度もその1つ。
もちろん進学にかかるお金は授業料だけでなく、入学金や塾の費用などさまざま。
今回のような支援制度を利用しつつ、子どもの進路を応援してあげたいですね。
ちなみに塾の費用を抑える場合は、オンライン塾の利用がおすすめです。
少しでも高校進学に際しての、お金の不安解消につながれば幸いです。