子どもの成績不振にどう関わればいいのかわからない親は多いものです。
もう高校生なのに勉強に口出ししていいの?
反抗期で親の言うことを聞かないからこっちもイライラしてしまう
高校生の親が子どもの勉強にどう関わっていくかは、多くの人が悩むポイントです。
高校生は半分大人で半分子どもの中途半端な時期。
親は距離感を理解した上での介入が必要です
できれば子どもの成績を上げる親でいたい!という保護者に向けて、高校生の子どもの成績にいかに親が関わるかを具体的に解説します。
子どもの成績は子どもの責任
基本的な立場として抑えておきたいのは、子どもの成績は子どものものということです。
義務教育まではある程度親が関わって、勉強をリードする形もいいでしょう。
しかし高校生は、卒業後の人生の岐路に立っている状態です。
親がうるさいから勉強する、親に喜んでもらいたいから勉強するなどの動機で勉強してもその先がありません。
もしそれで志望校に合格しても、何かにつまづいた途端「親が言うから大学に入ったのに!」と自分以外の場所に責任を求めてしまいます。
高校生は自分の人生を歩むための、自立の準備期間です。
- 子どもが頑張ったから成績が上がった
- 子どもが頑張らなかったから成績が下がった
すべては勉強をする本人の責任であり、親がその責任を負ってはいけません。
もしかしたら子どもは学力を必要としない夢があるのかもしれません。
他に子どもが輝く瞬間があるのかもしれません。
学力は点数などで目に見えてしまう分、親の気がかりの種になりますがよく観察してみると他にやりたいことを持っていないでしょうか?
気軽な日常会話の中でたくさん子どもの話を聞いてあげてください。
もしすでに将来のビジョンがあり、やりたいことを見つけられているならそれを応援する選択肢も出てきます。
逆に子どもが将来について深く考えていないなら、次に紹介することを参考にしてください。
勉強しなさいは逆効果
「勉強しなさい」が逆に子どもの反発を生むことは実感済みの方も多いでしょう。
「わかってるよ!」と合言葉のように返ってきて、なんだかギスギスした雰囲気になります。
家の中の雰囲気が悪いと、子どもが安心して勉強に専念できません。
そうは言っても親としては放っておけない場面もあります。
- 部活に打ち込みすぎて赤点をとるようになった
- ゲームばかりして適当に宿題を済ませてしまう
- 進学校に入って周りに圧倒されて成績が低迷してしまう
そんなときは事実だけを伝えるようにしましょう。
赤点ばかりの成績になってしまったなら「赤点ばかりだと留年したり退学しなくちゃいけなくなるよ」と伝えます。
このときの、言い方も大切です。
「わかってるの?!」と語気を荒げる言い方をしては、勉強しなさいと言っているのと同じ。
おすすめは言う前にワンクッション置くことです。
「お母さん、あなたに対して思っていることがあるんだけど、伝えてもいい?」
このときに子どもの聞く姿勢が整っていれば声は届くでしょう。
反対に「やだ」と言われれば受け入れ態勢が整っていないということ。
そんなときに親の思いだけ伝えても、子どもは腑に落ちないので別の機会を待ちましょう。
いずれにしても勉強しなさいと子どもに言うのは、子どもの反発を招くだけ。
別のアプローチで勉強へ意識を向かせるようにする方が賢明です。
子どもの成績を上げるために親ができること
親が良かれと思ってしたことでも、子どもにとっては嫌なことだったりします。
余計なことをすると思春期の子どもの神経を逆なでしてしまって、余計に勉強から遠ざかってしまうことも。
親が子どもを助けすぎてしまうと、子ども本人の自立心が育たない上、自立しようとしている子どもの心も傷つけてしまいます。
親ができるのはサポートすることのみ。
自分でできること・自分でしたいことは自分でやらせて、親はサポートに徹しましょう。
親も一緒に勉強する
親が子どもの現状を打破しようとしているなら、親も一緒に勉強しましょう。
受験勉強を一緒にするのではありません。
おすすめなのは、受験の傾向や効率的な勉強法、受験情報の収集などをすること。
親が受験に対して真剣な姿勢を見せることで、子どもへの刺激になります。
子どもが「部活との両立ができなくて悩んでいる」など具体的な悩みを抱えているならいい機会です。
親が親なりに両立方法を調べてみて、それとなく子どもに教えてあげてください。
もちろん親が勉強していることを子どもに押し付けてはダメ。
「調べてみたんだけど、こんな風に両立している人がいるよ」など、単に情報を共有するにとどめましょう。
「あんたはいつもスマホばっかりだから、こんな風に勉強しなさいよ」ではただのおせっかい。
重要なのは、勉強していることに口出しはしないことです。
親が勉強したり調べたりしている姿を見せることで、子どもが真剣さを感じ取ってくれるのを待ちましょう。
学習環境を整える
自宅で勉強をしている姿を見ないと「本当にやってるの?!」と不安になる親は多いです。
ではそもそも家の中の学習環境は整っているでしょうか?
家でわからない問題があったとき、子どもはその解決方法を持っているか考えてみてください。
わからない問題はできるだけ出会ったときに対処したいものです。
疑問を解消する方法が乏しいと、やる気が削がれたりその次に進めなかったり、勉強のモチベーションに大きく影響します。
疑問点は親に質問して解消できるでしょうか?
次の日必ず学校の先生に聞けるでしょうか?
あるいは塾や家庭教師といった選択肢はないでしょうか?
そして子どもはその選択肢があることに気づいているでしょうか?
まずは子どもに「勉強で困ってる?お母さん(お父さん)が教えようか?塾や家庭教師っていう選択肢もあるよ」と選んでもらいましょう。
「もう高校生なんだから自分で何とかしなさいね」という何一つ手を貸さないスタンスの方もいますが、あまりおすすめしません。
高校生は自立の練習をしている時期です。
放っておいて全て自分で解決できるほど大人ではない子も多くいます。
社会に出ていく練習をさせるつもりで、判断させるところはさせ、サポートするところは全力でサポートしてあげてください。
美味しい食事を提供する
親が自然と子どもをサポートできる最も簡単な方法は食事の用意かもしれません。
高校生になれば外で食べることも多いと思いますが、家での食事の時間は大事にしてください。
家族で食卓を囲む時間があれば、自然と親子関係は良い方に向かいます。
食事中はスマホの使用も減り、腹を割った話がしやすいので勉強の話をする心のハードルもぐっと下がります。
逆に家族でご飯を食べない家庭は、コミュニケーションが減りがちに。
コミュニケーションが減ると悪いところにばかり目が行きがちになり、衝突も増えてしまいます。
親子関係がよい家庭の子どもは成績が良いケースが多いです。
まずは衝突を避け、勉強に安心して向かえる雰囲気づくりからしてみるのがおすすめです。
子どもが求めるサポートは何か
子どもが求めるサポートは何でしょうか?
- マル付けをやってほしい
- 1人で頑張りたいから部屋から出てほしい
- コピーをとってほしい
- 頑張ったご褒美に美味しいものが食べたい
どんな環境で勉強に向かえるかも人それぞれなので、まずは子どもにその部分を確認しましょう。
「何か手伝えることある?」と聞けば「じゃあこれお願い」と返ってくる子もいます。
同じことを聞いても「1人で勉強したいから」と部屋にこもる子もいます。
そんな子には必ず「じゃあ何かあったらいつでも教えて」といつでもウェルカムである姿勢を示しましょう。
部屋にこもり始めたら集中していることを信じて待つのみ。
頻繁に見に行っては子どもの集中力を削いでしまいかねません。
もし具体的にサポートしてほしいことが言えないなら、質問をYES・NOで答えられる聞き方に変えてみてください。
これだけで子どもはぐっと答えやすくなります。
大切なのは親が思うサポートをするのではなく、子どもが必要とするサポートをすることです。
やってから「これやっておいてあげたよ」では「頼んでないし!」と反発を食らう可能性もあります。
必ず子どもに何が必要か確認をしてから、頼まれたサポートのみをするようにしてください。
親の思いを伝える時間を作る
親の思いは子どもにきちんと伝わっているでしょうか?
- あなたのことが心配
- 何か手伝えることがあれば力になりたい
- サポートには努力を惜しまないつもり
など、子どもを応援していること、信じていることをいろいろな角度から伝えてください。
言わなくても伝わっているはずなんて思わず言葉にしてください。
高校生では親のありがたみを心から実感する機会はあまりありません。
自分が親になって初めて親の偉大さや思いに感謝する人も多いです。
また、成績だけで子どもを判断しないスタンスを伝えることも大切です。
成績=子どもの価値ではありません。
それはわかっていても、つい目に見える成績に気持ちが引っ張られてしまいます。
今一度子どもに対して、「あなたはそこにいるだけで充分」という気持ちを伝えてみましょう。
ありのままの存在価値を認められると人は自己肯定感が上がり、心の土台が安定します。
自己肯定感が高いと安心して勉強する心の余裕もできます。
ぜひ、いろいろな言い方で子どもを思う気持ちを伝える時間を作ってください。
親はサポートに徹するのが吉
子どもの成績が上がらないのは親のせいではありません。
あくまでも子どもの成績は子どものものであり、親が責任を負ってはいけません。
親ができるのは、子どもが求めるサポートのみ。
思春期の高校生に適度な距離で接するのはなかなか難しいところもありますが、そこは辛抱強く頑張ってください。
親のサポートの次第では子どもの成績が上がることもあります。
ただサポートによって成績が上がっても「それならもっと!」と前のめりになりすぎないこと。
あくまでも成績が上がったのは子どもが頑張ったからです。
子どもの努力を思い切り褒めてください。