大学受験で推薦入試を利用しようと思っている高校生にとって、成績は超重要事項です。
なんとなくテストでいい点をとったり、授業に積極的に参加すればいい成績がつくと思っていませんか?
今回は、新しくなった高校生の成績の付け方について詳しく解説します。
成績の上げ方や、推薦での内申の重要性についても説明するので、読み終える頃には成績アップのために何をするべきかが具体的にわかるようになりますよ!
公立高校の成績の付け方が2022年度に変わりました
2022年、公立高校の成績の付け方は「観点別評価」に変わりました。
この評価方法はすでに小・中学校でも導入されていましたが、これが高校でも導入されることになったのです。
新しい評価方法は、生徒の学習を観点別に評価し分析的にとらえることを目標にしています。
ここでは、今までの成績の付け方と新しい成績の付け方をそれぞれ解説します。
新旧、高校の成績の付け方を比較
それでは、【今までの成績の付け方と新しくなった成績の付け方】を比較します。
●評価基準
今までの成績の評価基準 | 新しい成績の評価基準 |
1 関心・意欲・態度 2 思考・判断・表現 3 技能 4 知識・理解 | 1 知識・技能 2 思考・判断・表現 3 主体的に学習に取り組む態度 |
新しい評価基準では「技能」単体の項目がなくなり「知識・技能」となっています。
また「関心・意欲・態度」の項目がなくなり、「主体的に学習に取り組む態度」となっているように見えます。
新しくなった評価基準をそれぞれ詳しく見てみます。
1 知識・技能
各教科の学習で身についた知識・技能を評価します。
従来の「3 技能」「4 知識・理解」の部分です。
ここに属するのは、ペーパーテストやそれに準ずるテスト(CBT:デジタル端末上で行うテスト)など。
ただ知識を持っている状態だけでは不十分です。
概念的な理解、知識や技能を使えるかについても評価することが求められます。
2 思考・判断・表現
得た知識や技能を使って問題を解く、思考する、判断する、表現することを評価します。
ぺーパーテストのみならず、レポート、発表、グループワーク、作品制作などの活動が重視されます。
多様な活動とそのポートフォリオを評価対象に取り入れる必要があります。
3 主体的に学習に取り組む態度
知識・技能・思考・判断・表現を身につけるために、自らどのように学習状況を把握・調整し、粘り強く学ぼうとしたかという態度を評価します。
一見「1 関心・意欲・態度」とイコールのように見えるが異なります。
主体的に学習に取り組むというと、「挙手の回数やノートの取り方」と言った形式的な活動を思い浮かべますが、これは明確に否定されています。
新しい評価では、「関心・意欲・態度」(=勉強に対する取り組み姿勢)が学習成果(知識・技能・思考・判断・表現)に繋がっていることが求められます。
学習成果が出ていなければ、主体的に学習状況を調整しているとは言えないためです。
参考:児童生徒の学習評価の在り方について(文部科学省)
そして、これに伴って実際の【成績の付け方】も変わります。
●成績の付け方
今までの成績の付け方 | 新しい成績の付け方 |
1~5の5段階評価学校によっては10段階評価 | 科目別にA・B・Cの3段階評価をし、その評価から1~5の段階評定を出す |
今までの成績の付け方では、絶対評価で1~5の5段階評価をしていました。
テスト8割、提出物など2割と決めている学校も多く、定期テストで上位にいれば他の項目がそこまで突出していなくても、5がついていました。
新しい成績の付け方は2段階方式です。
例えば次のような成績の付け方が考えられます。
1知識・技能 | 2思考・判断・表現 | 3主体的に学習に取り組む態度 | 評定(1~5段階) |
A | A | A | 5 |
C | C | C | 1 |
C | B | B | 3?2? |
A | A | C | 5?4? |
C・B・Bとなった場合、3をつけるのか2をつけるのかは学校あるいは教科によって異なります。
A・A・Cとなった場合も4がつく可能性が出てきます。
いずれの成績の付け方も、具体的な評価の線引きは各学校が独自に決めてよいことになっています。
学校の基準は先生に聞けば教えてくれることもあります。
評価基準に関することは情報開示して、公正な基準の中で行うのが一般的です。
分からないままに成績をつけられては、学校の信頼も失いかねませんからね。
評価基準を示すことは学校側からすればクレーム対策にもなるので、聞けば教えてくれると思います。
参考:学習評価の在り方について(文部科学省)
高校生が成績(観点別評価)を上げる方法
それでは、観点別評価において高校生が成績を上げる方法を見ていきましょう。
知識・技能と思考・判断・表現はテストがメイン
「1 知識・技能」「2 思考・判断・表現」はテストの成績がメインです。
従来通り定期テストで高得点をとることや実技テストは、成績を上げるのに必須。
そして定期テストを中心に、レポートや発表などにも力を入れましょう。
評価基準は定期テストの問題(あるいは解答用紙)に小さく書かれていることもあります。
その場合、問題によってどの評価に影響するのか分かるので、参考にしてみてください。
近年では大学入試の内容が、より思考力や表現力を求める問題に変化してきました。
新しい評価で求められるのは、丸暗記で答えられるような断片的な知識ではないことを心得ておきましょう。
歴史ならば1つの出来事の背景にどんなことが起こり、どんな関係性があるのかなど広がりのある知識が求められます。
数学なら公式を覚えて使えるだけでなく、なぜその公式になるのかまで考えておくとよいです。
新しい評価になって、「学習を深める姿勢」が求められるようになっていくかもしれません。
ただ、成績がよい人はそうした深める学習をしている人がほとんどです。
高校の勉強は丸暗記だけでは限界があります。
先生もその部分はわかっているので、やはり定期テストを頑張ることが成績を上げる近道と言えます。
主体的に学習に取り組む態度は平常点
「3 主体的に学習に取り組む態度」はテストの成績だけでは測り切れない部分があります。
日ごろの授業への取り組み、レポート、課題、振り返りシートなどを必ず提出しましょう。
提出期限を守ることはマストです。
期限を過ぎるごとに点数を引くこともあります。
ただ期限内に出せばよいわけではなく、内容にも積極性が見えるものの方が当然よいです。
提出物は丁寧に、内容を濃く、努力の跡がわかるようにして提出してください。
授業中の態度も大事ではありますが、それだけで判断することはありません。
教師側も「日ごろから授業に積極的」だけで評価をするのは、基準が曖昧ですし主観が入りやすいので避けたいところです。
できれば提出物など具体的かつ客観的にわかるもので評価をすれば、クレーム対策にもなるのが本音。
客観的に判断基準がわかるものだと、「どうしてうちの子の評価が2なんですか?」と聞かれても、きちんと提示することができますから。
ただ、「3 主体的に学習に取り組む態度」の評価は、先生によってはテストの成績がよければ主体的に学習に取り組んでいると考えられる、と判断する可能性もあります。
その部分は成績をつける先生の裁量によるので、なんとも言えないところです。
いずれにしても課題をまったく出さなければCがつく可能性が高いのは当然。
出された課題は、内容の質も含めて期限内に出す方が当然有利です。
推薦入試を視野に入れるなら早めの対策を
推薦入試での大学受験を考えている高校生は、高校に入ってすぐに受験対策をする必要があります。
具体的に成績が推薦入試にどう影響するのか見てみましょう。
- 推薦狙いなら1年生の1学期から勝負
推薦には内申がある程度高くなければいけません。
そしてこの内申はほぼ学校の成績で決まります。
そして、大学推薦入試で対象としている学校の成績は「1年1学期~3年1学期」の内申の平均です。
つまり高校に入ってすぐから大学受験への勉強が始まっているのです。
しかも高校1年生1学期のテストは、内容もまだ簡単で高得点をとりやすいテスト。
ここで適当にすまして高得点をとれないと、後から取り戻すのに相当苦労します。
- 授業は軽視できない
高校での勉強は、以前より思考力や表現力が求められるようになりました。
もちろんすでに述べたように提出物も重要ですし、授業態度も重要です。
それに伴って発表、プレゼン、グループワークなどの授業が増えているところが多いです。
こうした授業が多いなら、「3主体的に学習に取り組む態度」の評価を上げるチャンスと考えましょう。
「テストで上位なんだから授業は頑張らなくてもいいでしょ?」では「3主体的に学習に取り組む態度」にCがつく可能性もあります。
さらに「2思考・判断・表現」の評価ももしかしたらBがついてしまうかもしれません。
3観点の評価がそれぞれ「A・B・C」だと、評定は4になる可能性が高いです。
もし推薦を狙う学校が、「内申平均4.5以上」を求めているなら、この科目が足を引っ張ることになります。
この推薦基準は学校によって大きく異なります。
必ず自分が推薦を狙う学校は内申平均がいくつなのか、早めに確認しておきましょう。
分からないことは学校の先生に聞いていい!
成績の評価基準が変わりましたが、実際の成績の付け方は学校や先生に任せられている部分があります。
「成績の付け方なんて生徒が先生に聞いていいの?」と思って聞かない人も多いです。
けれど、何が評価のポイントになるか見えない状態では、学校側としてもクレームの的になってしまいます。
「推薦を狙ってるんですが、評価されるポイントを具体的に知りたいです」と聞いてみれば、教えてくれる先生も多いはずです。
学校によっては、評価基準を最初に提示していることもあるので、その場合は聞き逃さないようにしましょう。
テスト対策に、提出物に、部活に、受験対策まで考えるととてもやることが多い高校生活です。
自分1人でカバーしきれないときには、ぜひ塾などの力も借りて乗り越えてください。