大学受験に必要な調査書は開封厳禁です。
そのため、何が書かれているのか気になる!という高校生は多いと思います。
特に2021年度入試から調査書の様式が変わったこともあり、気になるところでしょう。
この記事では、気になる調査書の内容を詳しく教えます!
入試方法によって異なる重要性についても詳しく解説していますので、この記事を読んで調査書に関する疑問点を解消してください。
調査書の内容が拡充!何が書かれている?
2021年度入試から調査書に記載される情報量が増えました。
これによって高校の先生の負担が多くなったのは言うまでもありません。
しかし2025年度入試の調査書から、A4の表裏1枚にまとめる書式にもどる予定です。
ここでは2021年から拡充された調査書について解説します。
実際の調査書ってどんなのもの?
調査書では、以下の9項目について生徒の情報を記載します。
- 1.氏名、生年月日などの個人情報
氏名、生年月日、所属高校名などの情報が記載されます。
- 2.各教科・科目の学習の記録
高校1・2年生における各学年の成績~3年生の1学期の成績が各教科5段階評価で記載されます。
ただし、調査書の発行時期によっては3年生の2学期・3学期までの成績が記載されることとなります。
また浪人生の場合は3学年全ての成績が記載されます。
- 3.各教科の学習成績の状況
各教科の成績を5点満点で評価し記載します。
- 4.学習成績概評
評定平均値によって、A=5.0~4.3、B=4.2~3.5、C=3.4~2.7、D=2.6~1.9、E=1.8以下 の5段階に分けられています。
学年全体の人数の分布と、受験者本人の評価が記載されます。
学年の中でこれくらいの位置の成績にいる生徒ですよ、というのが分かるわけです。
評定平均値とは(評定の合計)÷(科目数)で算出される数字です。
推薦入試では、「全体の評定平均3.5以上」など、出願条件として使われます。
大学によってはこの数字も出願条件として評価することがあります。
- 5.総合的な探究の時間の内容・評価
1~3年の学習の評価を文章で記入します。
- 6.特別活動の記録
委員会活動など
- 7.指導上参考となる諸事項
※以下で解説
- 8.備考
- 9.出欠の記録
学校推薦型選抜では、出願基準に欠席日数が決められていることがあります。
欠席が多いと面接時に質問される可能性もありますので、うまく説明できるようにしておきたいですね。
以下が、実際の調査書の書式です。
調査書の様式は高校ごとに変わらないよう、文部科学省によって指定されています。
誰でも見ることができるので、一度実際の調査書を見てみてください。
2021年度から変更されたのは、成績以外の欄「7指導上参考となる諸事項」です。
この欄が拡充され、より細かく生徒の様子について記載することになりました。
具体的には以下の項目を書きます。
- 各教科・科目及び総合的な学習の時間の学習における特徴等
- 行動の特徴・特技等
- 部活動、ボランティア活動、留学・海外経験
- 取得資格・検定等
- 表彰・顕彰等の記録
- その他
学年ごとにこれらの記載が必要です。
中でも、③部活動やボランティア活動の具体的な取り組み、④資格や検定の内容・スコア・時期、⑤大会やコンクールの内容や時期、成績などはより具体的な記載が求められています。
またその他にも、生徒の成長に関する初見を記載することが求められます。
受験生にとっては、これらの欄を書いてもらうチャンスと考えることもできますね。
調査書の中身がスカスカな生徒より、中身が充実している生徒の方がやはり試験官への印象は良いです。
たくさんの活動実績が書かれていれば試験官も「この生徒はいろいろなことにチャレンジしているんだな」「積極的に学ぶ姿勢がみられるな」と判断します。
ただ、調査書の中身を見てわかるように、多くの欄を占めているのは学校の成績に関する部分です。
そのため調査書をよくするには定期テストで高得点をとることが最重要。
先生方も授業をしっかり聞いて努力すれば高得点がとれるテストにしているはずです。
定期テストの先に大学受験が続いていると思って、日々の勉強を大切にしましょう。
その上で加点要素として、部活動などを頑張ってみてください。
ただし部活動は所属しているだけではダメで、一定以上の成果を出さないとプラスになりません。
さらにプラスを増やすためには、ボランティア活動に参加したりするのも良いです。
英検などの資格試験にチャレンジすれば、勉強面でも調査書の面でもプラスです。
ボランティアや資格試験などは、受験が迫った時期にはなかなか手が回りません。
やるなら1・2年生の余裕のある間にするのがおすすめです。
2025年からは再び様式が変化!自分でチェックしておこう
これらの欄が拡充されたのは、生徒の様子をより細かく把握して合否判断に生かすべきという意向があったためです。
しかし情報量が多くなれば、作成する側の先生の負担は増える一方です。
生徒1人ひとりについて、1・2年生のときまで遡って生徒の様子を調べなければなりません。
たくさん書くことがある生徒はまだ良いですが、突出して書くことがない生徒もいます。
その場合、自分の生徒が選考で不利にならないように書くことを考えて考えて絞り出す作業もまた大変で時間がかかるのです。
このような働き方改革の逆を行く流れが問題視されたこともあり、2025年からは記入量が減ります。
2025年以降の入試を受ける高校生は、文部科学省の公式サイトから実際の様式をチェックしてみてください。
調査書には悪いことは書かれていない
調査書で気になることの1つが「何か悪いことが書かれてないかな…」という点かと思います。
先生と相性がよくなければなおさらでしょう。
けれど安心してください。
調査書に悪いことは書きません。
もし、ネガティブな要素があったとしてもそれを良い言い方に変えて書くことが多いです。
それに調査書の内容は、担任の先生だけでなく複数人の先生でチェックします。
高校としても生徒には合格してほしいわけですから、あまりに内容が担任の主観に寄りすぎていれば直すことになるでしょう。
もしとんでもなく生活態度が悪い生徒がいても、悪い部分には触れずに書くことが多いです。
悪い部分に触れないことで、嘘はついていないので高校としての信用もキープできるという本音の部分もあります。
ただし客観的な事実は書きます。
成績がよくないのにその点で嘘を書くようなことはできませんし、授業に出席していないのに出席日数をごまかすようなことはありません。
成績や出席日数といった数字の部分は、生徒の頑張り次第となります。
推薦入試は調査書が重要ってほんと?
調査書には出欠席の数や成績、あれば大会や受賞歴などに関する詳しい情報が記載されています。
これらの情報が合否判断に大いに活用されるのは推薦入試です。
ここでは入試方法による調査書の重要度について解説します。
どの大学受験でも調査書は必要
大学入学共通テストを除き、入試方法に関わらず大学受験で調査書は必ず必要です。
けれど一般選抜では調査書はほとんど合否に影響がないです。
一般選抜での調査書の役割は、卒業見込みを確認することにあります。
出席数が足りているか、単位が足りているかなど、生徒がきちんと卒業できるかを見ているのです。
ただし、場合によっては一般選抜でも調査書の内容が合否に関わることがあります。
それは合格点ボーダーラインで、合否判断をする場面。
学力テストで同じ点数だった場合、調査書の内容で合否を決めることもあります。
また大学によっては、積極的に調査書の内容を得点化して一般選抜の得点に加算して合否を決めるケースもあります。
これは大学によって異なる部分なので、調査書の扱いは受ける大学の入試要項をよく確認しておきましょう。
推薦では調査書が合否を左右する
総合型選抜・学校推薦型選抜で受験をする場合、調査書が合否を左右する重要項目となります。
調査書には評定が記載されています。
そして推薦では大学側が「評定平均3.5以上」のように、受験対象となる生徒に一定以上の条件を求めるのです。
そのため調査書の内容が大学の求める基準に達していないと、校内選考で不合格になったりします。
総合型選抜の場合でも、評定が足りないままで出願したとしても、結局は書類審査で落ちる可能性が高いです。
特に近年、推薦でも学力を重視しようという流れがあります。
こうした流れがある以上、どちらの推薦においても調査書の中身は重要だと言えます。
出願基準を満たしているかのチェックにも使われる調査書。
さらに選考過程に入ると、調査書を点数化し、面接や小論文にプラスして合否を判断するケースが多いです。
調査書の評定平均×10として50点満点で点数化するのが一般的。
私立大学の学校推薦型選抜では、「調査書を点数化して加味される受験方式」と「調査書を加味しない方式」を選べることもあります。
推薦における調査書の重要性も、学校や受験方式によって大きく異なります。
必ず受験する可能性のある学校の募集要項をよく確認して、自分にとって損な選択をしないようにしてください。